今まで読んで来た本の中でも、今でも時々思い返すような、毎日その本で教わったことを思い出すような、そんな本が何冊かあります。そんな僕の価値観に大きく影響を与えてくれた本を紹介したいと思います。

今回紹介するのは、僕の芸術観、エンタテイメント観に大きく影響を与えてくれた本2冊です。どちらの本も読んだときに「僕が考えていたのはこれだ!」と共感しました。

最初に紹介するのは筒井康隆さんの『美藝公』です。

僕はこの作品を筒井康隆さんの最高傑作だと思っています。映画俳優が国民のスターである架空の世界、架空の時代の話です。時代背景は僕の父や母が子供だった頃の日本がベースになっているようです。

襲名制の「美藝公」という当代一の役者が国民全員のスターであり、この世界ではゴシップなどは報道されません。皆、憧れのスターが輝き、脇を固める女優や若手俳優の魅力にあふれる映画に夢中です。そして客の期待にこたえるべく、製作グループは互いに信頼と友情を深めながら、誠心誠意作品作りに力を傾けます。

新聞の一面にも当然、毎日俳優達が登場します。

そんな人情味暖かく幸せな世界で、ある日、ある作家が言い出します。「もし、こんな世界があったらどうだろう。人は映画に興味を失い、俳優や女優のゴシップにばかり興味を持ち、雑誌も下世話な話ばかりを追いかける。新聞に美しい俳優や女優の姿はなく、醜悪な政治家たちが毎日、新聞の一面を飾るとしたら・・・」この恐ろしい問いかけに、それを想像して全員が身震いします。

Amazonを見たらこの本はkindleで読めるようですね。実はkindleってとっても読みやすいので読書するにはとっても楽です。

次に紹介するのはサマセットモームの『月と六ペンス』です。

この本は当時、二十歳そこそこの僕が読んでいて、いちいち「そうそう、その通り」と共感した覚えがあります。作品に登場する主人公、ストリックランドが画家ゴーギャンを見て感じる芸術に関しての価値観に共感したのです。芸術とは空間から紡ぎだすように生まれるもの、いわば神との会話ともいえる。創造しているわけでもなく、ただ筆を持たずにいることも出来ないから、描いている。というような表現があったような気がします。

この2冊とも、21、2歳の頃、同時期に読んでいて、しかも友人の本でした。

友人はこのほかにもサマセットモームを何冊か持っていたので、読んだ記憶があります。でも全く記憶に残っていません。

どうやら美藝公(美芸工)はkindleで読む以外には、中古の本を手に入れるしかなさそうです。
この機会に古書を入手してまた読んでみようと思っています。